【ミチノク峠の旅 #02】焦らない、マインドフルネス、考えない

焦らない、マインドフルネス、考えない

 
この記事はポッドキャスト番組として以下のメディアで聴くことができます。
 

ゲスト、パーソナリティ

Guest, Personality

ゲスト:ミチノク峠
Animation Creator / Game Art Designer アニメーション制作を中心に活動。現在は『ミチノク峠』というショートアニメ製作・投稿中
mainly engaged in animation production. Currently, I am producing and posting a short anime called "Michinoku Toge".
 
パーソナリティ:迫田祐樹
通信会社、総合広告代理店を経て、アニメ企画&制作会社を起業し、MV〜映画の映像プロデュース。2021年に京都に移住し京都のエンタメ産業の盛り上げにも着手。直近ではマンガやオーディオのエンタメ領域にも従事。オーディオドラマ、webtoonの企画&制作中。加えて複数のエンタメ会社のプロデューサーやアドバイザーをつとめる。
Personality: Yuuki Sakoda
After working for a telecommunications company and a comprehensive advertising agency, he started an anime planning and production company and produces music videos and films. In 2021, he moved to Kyoto and started working on promoting the entertainment industry in Kyoto. He is currently also working in the entertainment field of manga and audio. He is planning and producing audio dramas and webtoons. In addition, he serves as a producer and advisor for multiple entertainment companies.

全体の目次


#01
・かずのこさんからミチノク峠さんへ ・アニメ映像を志すきっかけ ・3DCGのクオリティを上げる要因は2Dアニメーションに土台があると気づく ・ディズニーピクサーのストーリーボードが魅力的だった ・日本人気質であるということ ・カットに漂う空気感を大事に制作する ・ブラザー・ベアからもらったインスピレーションの源 ・日本版ブラザー・ベアを作りたい ・難しいテーマをエンタメでくるんで食べやすくする ・生きているものを描くのが楽しい ・自由で多様なものをつくりたいと思ったのでゲーム会社に入った ・会社の中でやれる人、やると有利なこと、フリーランスがいい人、やれることなど ・内なる自分の存在 ・卒業制作の大失敗
#02
・会社の先輩に教えてもらったこと ・焦らない、マインドフルネス、考えない ・考えないためのコツはあるのか ・嫌なことを棚に上げる、嫌なことに蓋をする ・グレーにすること ・感銘を受けたAiry MeのMV ・クリエイティブアイデアを発想するルーティンとは ・お題に対して調べまくる ・わかりにくいものをアートやクリエイティブの力で伝えやすくすること
#03
・クラウドファンディングをやってみての実感 ・当初は自分の力だけでやろうとしたが... ・スマートにやりきれないアニメ ・人間らしさやものづくりの本質の所在とは? ・AIの到来を通じて、我々が作品を通じてなにを見てるのか、求めているのか、がわかりやすくなったと感じる ・文脈の大事さが際立ってきている ・作品「ミチノク峠」について ・東北のアイデンティティ、東北っぽさを伝えたい ・「ミチノク峠」10話で伝えたいこと ・生まれながらにして制約が決まっている、ということ
 

#02が始まります


焦らない、マインドフルネス、考えない

Don't rush, be mindful, don't think.
 
はい。えっと、ミチノクさんが卒業制作の時にやりたかったことみたいなものがずっとあって、でも機会がなくて、それがずっと引っかかっていて、えっと、会社員生活五年間も引っかかっていて。それでこれはどうしてもやらなければならないということで、独立する。まあ、ある種の後から振り返ると失敗体験だったと思うんですけど、あの、どうでしょうね?実際、社会に出て会社で働く時もそうですし、プロジェクト単位で何かをやる時、色々こう成功体験もたくさんあるけど、失敗をしたことだったりとか、あとは何か直面した時に乗り越えなければならないってことがあると思うんですけど、そういう時にミチノクさんが持っている哲学というか、この対処法みたいなものってどんなものがあるんでしょうか?
Yes. Um, there was always something that Michinoku-san wanted to do for your graduation project, but you never had the opportunity to do it. It bothered him for a long time, even during his five years as a company employee. So you decided to become independent because you had to do it no matter what. Well, looking back, it was a kind of experience of failure, but in reality, whether when working for a company in society or doing something on a project basis, there are many successes and failures, and you have to overcome them when facing something. What kind of philosophy or coping method does Michinoku-san have in such situations?
 
そうですね。困難っていうか、多分、これはクリエイティブ業界に限った話ではないと思うんですけど、僕がその仕事で困っていたときに、その会社の先輩に言われたことがありまして、まずあの二つ話そうと思うんですけど、まず一つ目は、「常に冷静でいる」ことですね。焦らない、ということです。 焦ってしまうと、主観的に意外と自分の頭が動いているように感じるんですけど、回ってないんですよね。テレビで見た話なんですけど、なんかある人がそのお金がないのに騙されて、お金がなくなって。さらにその悪い人から騙されてなんというか、負のスパイラルになってって、 最終的に騙されてた人っていうのは冷静な判断ができないような状態になったんですよね。テレビで実際のそのまあモザイクはかかってたんですけど、その様子を見ると本当に信じられないような判断をするんですよ。
だから、その追い込まれている人っていうのは、その本当にちゃんとした判断が出来ないんだなということで、まず焦らないということを大事にしてます。冷静になるというか。で、プラスその僕がその悩んでいたときにマインドフルネスっていうのをあのちょっと見まして、まあマインドフルネスっていうのは瞑想のことなんですけど、瞑想っていうのは心を無にして目標整えて、その頭の回転を良くするみたいなエクササイズなんですけど。 そのまあ、深呼吸ですよね。深呼吸をして、いったん落ち着くと、その焦りが少し軽減されて、まあ冷静な判断に近づくということなので、それをまず大事にしてやるようにしてますね。
それから、2つ目なんですけど、「考えないこと」です。さっきとは裏腹なんですけど、この「考えない」っていうのは何かこう、なんだろう。中傷されたりとか、まあ後は上司からきついこと言われて、それがその人格を否定するようなことだったりすると、まあ家に帰って部屋で一人で悩むっていうこと、よくある話ですよね。それって、あのただ同じ思考ぐるぐる回転させているだけで全く生産的じゃないんですよね。僕はその過去に結構引きずるタイプというか、引きずる性質があって、考えればその改善策が見えてくるだろうとか、あとはまあマシになるだろうと思って、結構ぐるぐる考えていて、でもそれがなんか自分にプラスになってないなって思ったことがあったんですよね。逆に開き直って考えないで見ようと思ったら、そのまあ、意外とそのさっきの話に通じる。その冷静さというか、心が安定して、その正しい判断に近づいてたんですよね。
だから、その「考えないこと」によって気にしないってことですよね。気にしない、考えないようにして、その同じネガティブな考えでぐるぐる回ってることをやめて、辞めるっていうか、そのそこから離れることができて、ええとまあ、結果的に、なんだろう。失敗、失敗をその成功に近づくための術が、「考えないこと」と、常に冷静でいることだと思います。まあ、現に今緊張しているので、冷静さを欠いているなっていう感じがします。ちょっと深呼吸しないとなと思ったりしますね。
Well, let me see. It's not just limited to the creative industry, but when I was struggling with my job, there was something a senior at the company told me that I think is important to share. First, it's about always staying calm. Don't panic, that's what it means. When you panic, your head feels like it's working subjectively, but it's not actually turning. There was a story on TV about someone who was deceived because they had no money and lost all of their money. They were then deceived by the bad person and ended up in a negative spiral, and in the end, the person who was deceived couldn't make rational judgments. When I saw the actual situation on TV, the judgments they made were really unbelievable.
So, I think that people who are in a tight spot can't make really good decisions, so it's important to not panic and stay calm. And when I was struggling, I saw something called mindfulness, which is actually about meditation. Meditation is an exercise to empty your mind and focus on your goals to improve your thinking. It's like taking a deep breath. When you take a deep breath and calm down, the anxiety is reduced a little and you can get closer to making rational judgments, so I think that's important to do.
The second thing is "not thinking." This is the opposite of what I just said, but it's like, I don't know, when you're insulted or your boss says something harsh that negates your personality, it's a common story to go home and worry alone in your room. But that's just spinning around the same thoughts and it's not productive at all. I'm the type of person who tends to drag things from the past and I used to think that if I thought about it, I would see a solution and it would get better, but there was a time when I thought it wasn't really helping me in a positive way. On the contrary, when I tried to think positively and not worry about it, it was surprisingly similar to what I just said. I was able to be calm and my mind was stable, and I was getting closer to making the right judgments.
So, it's about not caring about it by "not thinking." Stop spinning around with the same negative thoughts, distance yourself from them, and ultimately, I think the key to success is "not thinking" and always staying calm. Well, I'm currently feeling nervous, so I feel like I'm lacking in calmness. I think I need to take a deep breath.
 

ああ、深呼吸ちょっと一回しましょうかそしたら笑。「焦らない」「考えない」が、困難に直面した時にこうまず頭で頭に置いている、二つの先輩の助言ってことですね。だたちょっとこの「考えない」っていうところを突っ込んでお聞きしてみたいんですけども、そうはいっても「考えない」ってとても難しいじゃないですか?
Ah, let's take a deep breath and then laugh a little. "Don't panic" and "Don't overthink" are the two senior colleagues' advice that we should keep in mind when facing difficulties. However, I would like to ask more about this "Don't overthink" part. Even so, it's very difficult to "not overthink", isn't it?
うん、そうですね。考えちゃいますよね。
Well, yeah. It makes you think, doesn't it?
そう。考えちゃうから、やっぱり大変なわけで。。まあデフォルトモードネットワークとかいろいろありますけど、結局その脳が勝手にこう考えているものだったりするじゃないですか。それをやっぱりストップできないから、皆さん悩むんだなあと思うんですけど、 あのそこで言うと、ミチノクさんはある程度、何かしらの方法論でその「考えない」をできるようになってるのかなと思うんですけど、なんかそれってどういう技があったりするのかなっていうのをちょっと聞いてみたいなと思いました。
Right. It's tough because once you start thinking about it, your brain automatically goes that way, you know? There are various default mode networks and whatnot, but ultimately it's what your brain naturally thinks about. That's why I think everyone struggles with it, because they can't stop it. In that sense, I feel like Mr. Michinoku has somehow been able to "not think" to a certain extent through some methodology, and I'm curious about what kind of techniques he uses.
 
そうですね。僕ですらちょっとまだできてないとは思うんですけど、でも、その考えないってことができなかったときは、考えちゃだめだよね、ポジティブなことを考えようって意識するんですよ。あとは、その日記とか、まあ僕の場合、その日記がわりに裏アカウント、twitterの裏アカウント作って「なんかこういう嫌なことがあった、ううう」 みたいな、つぶやくことが多いんですけど、これって結局、思ったことを形にしちゃってるじゃないですか、言葉で。だからなんだろう、そう考えないようにしようという意識があっても、なんかその意識したり、言葉に出すことによって必然的に意識しちゃうんで、そのネガティブな気持ちにその無意識的に近づいてちゃってるんですよね。だから、それすらもしないように心がけて、 何て言うんだろう、こう、 嫌な事に、嫌なことを棚に上げる、嫌な事に蓋をするみたいな感覚というか。
例えばなんか平和な家庭があって、でもなんかその家庭には実は、なんだろう、こう恐ろしい過去があったみたいなことの場合、なんかこう、それをタブー視して口に出さないとか、あとその言霊って言葉がありますよね、言葉にするとなんか、たまになってエネルギーになるみたいな。それって、あながちその名シーンじゃなくて科学的にも脳科学的っていうんですかね?なんかその論理的にも、そう言えるなと思うんですよね。だから、その全くその意識する、意識自体をしないことが大事なのと、そういうふうに考えそうになっちゃった時っていうのは気落ちしてるんで、元気が無いとその元気がない理由を考えちゃうんですよね。結果その、なんだろう、嫌なことを思い出してしまうということなんで、そのまあ、辛くても楽しいことに目を向けるというか。まあ美味しい物食べたり、まあ、それも暴飲暴食ってなんかあんまりよくないことなんですけど、なるべくその楽しいことに目を向けるということが、大事だと思います。
あとはえっと、 なんだろう、 カウンセリング的な観点になるんですけど、えっとその考えこんじゃうと、常に人って過去と未来を考えるんですね。例えば、過去にこんなことがあった。あぁいやだ、俺はダメなんだみたいな。一方、未来は、この先どうなるか分からない不安に襲われるんですよね。自分の状況に浸らないで常に頭の中は過去と未来を往復しているんですけど、それを一切考えないで、その時点、この時の瞬間に集中することができれば、必然的に、なんだろう、考え込むことから離れることができると思います。それの延長線上でおいしいもの食ったりとか、山に行って美味しい空気を吸ったりとか景色がきれいとか、なんか幸せだなと思う瞬間があったときは、その事に浸ることが大事らしいんですよね。浸ることによって、その徐々にこう自分の心に栄養が行くというか、なんかこう、ネガティブなことから離れて行けるらしいんですよ。その話によると。だからなんだろう、まあ、ある意味、なんて言うのかな、その別の言い方をすると、今あるものに感謝をするってことになるんですけど。でも、つらい時に無理矢理なんか目の前にあるものに感謝しろと言われてもそんな無理じゃんってなるじゃないですか。だから、ちょっと幸せになって、幸せな瞬間があったときに、またその自分が良いと思える、幸せだと思えるところにフォーカスして、それに浸る。浸ることを意識することによって、徐々に悪いこと、考え込むことから離れることができるという感じで、僕はあの克服するようにしてます。
Well, even I still feel like I haven't quite figured it out yet. But when you can't help but think negatively, you have to consciously try to think positively. For me, I often use a secret Twitter account as a replacement for a diary to vent things like "something bad happened, ugh". This way, I am putting my thoughts into words. So even if I try not to think negatively, by being conscious of it or putting it into words, I unintentionally bring negative feelings closer to my subconscious. Therefore, it's important to try not to do that and focus on ignoring negative thoughts by putting them aside or covering them up, so to speak.
For example, in a peaceful family, there may have been a scary past that is taboo or unspoken. There is also the concept of "kotodama" where words can sometimes become energy. This can be explained scientifically or neurologically. Therefore, not being conscious of negative thoughts and not saying them out loud is important. When you feel down, you tend to think about the reasons why you are feeling down. As a result, you end up recalling negative experiences. So, it's important to focus on the good things, even if they are small things like eating delicious food or going to a beautiful place.
Also, from a counseling perspective, people always think about the past and the future. For example, "this happened in the past, so I'm no good". Conversely, we are often plagued by anxiety about the unknown future. But if we can concentrate on the present moment and not think about the past or the future, we can avoid overthinking. It's important to immerse ourselves in happy moments and feel grateful for what we have. By doing this, we gradually nourish our hearts and minds and can distance ourselves from negative thoughts. So, focusing on being happy and soaking up happy moments is key to overcoming negative thoughts, in my experience.
 

グレーにすること

Ambiguity

マインドフルネスっていう言葉、最初に出していただいたんですけど、やっぱそこにすごく根ざしたお話だなと思ってお聞きしてました。結局、この領域で今、ミチノクさんが言われた話っていうのって、結構、腑に落とすのがなかなか難しい話じゃないですか?
The word "mindfulness" was mentioned at the beginning, and I thought it was a story that was deeply rooted in that concept. In the end, the story that Mr. Michinoku talked about in this area is quite difficult to understand and accept, isn't it?

あ、そう、今言い方を思いついたんですけど、嫌なこととか、悪いことに腑に落とす、腑に落とそうとする、あるいは落とし前をつけようとしようとすると、ネガティブ になるんですよ。だからそのグレーが一番という言葉ってよく言われることなんですけど、白黒つけるよりもグレーにする。ちょっと話がちょっと変わるんですけど、あの世界の紛争も白黒つけるより、グレーにした方が平和を、平和が保たれてるケースって多いですよね。だから、そのそういうことに対してグレーにすることこそが精神的に安定するのかなと思います。なんか決めつけないで、本当にいいところはどこなのかっていう、 まあ、なんだろう、白黒じゃなくて、その中間のいいところどりをするみたいな感覚で行くといいのかなと思います。
Oh, I just came up with a way of expressing it. When it comes to unpleasant or bad things, trying to come to terms with them or trying to find closure can make you feel negative. That's why people often say that the gray area is the best, rather than trying to see things in black and white. This may be a bit of a digression, but in conflicts in the world, it's often better to see things in shades of gray to maintain peace. So, I think that seeing things in shades of gray is what leads to mental stability. Instead of making assumptions, it's good to find the best part in a middle ground, rather than in black and white.

めっちゃいい話ですね。というのもやっぱり国際的な秩序とかルールもグレーな所を絶対に持っておくじゃないですか。国連とかもそうですし、どこかが何かのあの決定権を持ってるみたいな状態を無い状態にしてるっていうか。
That's a really good point. After all, it's important to always have some gray areas in international order and rules. The UN and others do the same thing, avoiding a situation where one place has complete decision-making power over something.

そうですね。なんかよくわかんない感じになってますね。でもそれでうまくいってるというか。
Well, I see. It's kind of confusing, but somehow it works.
 
そう。よくわかんない感じにしとかないと、あの何かがもう0か100で決まってしまうと、合理的な意思決定がなされてしまうから、それはやっぱりあの0か100で、何かが、誰かが振り落とされてしまうという結論を導き出してしまうと思うので、やっぱり曖昧にしておくっていうのは、自然と国際的な様々なことでも適用されている考え方だなと今思いました。
そこで、ミチノクさんに事前にちょっとお聞きした時に、チームメンバーとの意見の違いが生じたときの対処の方法っていうところで、今のこのグレーの論法のお話をされていたので、なんかちょっとその話も含めて話してみたいと思いまして。
Right. I think it's a natural and internationally applicable approach to leave things ambiguous because if that something is already determined to be either 0 or 100, then rational decision-making will be made, which I think leads to the conclusion that someone or something will be dropped.
So, when I asked Michinoku-san beforehand about how to deal with differences of opinion with team members, he talked about this gray area logic. So, I thought I'd like to talk about that as well.

えっと、そうですね。チームメンバーとの意見の食い違いについても、まさにその通りでその曖昧なままにしておくっていうことが大事で、響きが悪いんですけど、実際問題、僕は最善だと思ってるんですよね。その、なんだろう、白黒、偏見の話にもなってしまうんですけど、偏見って白黒はっきりさせる行為と同じだと思うんですよ。
何もかもその同じこととしてまとめてしまう、何ていうか摩擦の原因になるんで、そのチームの中で大事なのは、いろんな違うものがあっても、共存することですよね。違うものがあっても共存すること、流れることが大事なので、グレーのままというか、そのいいとこどりの方法を考えることによって、そのチームメンバーとの意見の食い違いで、その止まっていたものが動き出すのかなと思います。まあ、ちょっと別の言い方をすると、ヘーゲルの弁証法っていうなんか小難しいことがあるんですけど、それって結局aとbがあってえっと、どっちもえっとまあ言い争いをしてるんですけど、仲裁に入る人がじゃあ、こうしたらっていう中間の意見を言って、なんかそっちの方に誘導するみたいな言葉だと、だから、なんかそのグレーのままにしておくっていうのは、いろんなことに対して結構大事なのかなと思います。
Well, let me think. Regarding differences of opinion with team members, it's important to leave things ambiguous just as they are, even though it may sound bad, and in reality, I think it's the best way. It's kind of like the discussion of black and white and prejudice, but I believe that prejudice is the same as clarifying things in black and white.
Summing up everything as the same thing can cause friction, so what's important in a team is coexistence, even if there are different things. It's important to flow and coexist even with different things. By thinking about finding a compromise that combines the best of both worlds, I think that the things that were stopped by differences of opinion with team members will start moving again. Well, to put it another way, there's something called Hegelian dialectics that's a bit complicated, where there are a and b, and they're arguing about something, but then a mediator comes in and suggests a middle ground, and words that lead in that direction, so leaving things gray like that is probably important for various things.

いや、なんかこれはあの、なんだろうな、業界30年やってますみたいな境地に立っているような気がしますね笑
No, I feel like I'm in a state where I've been in the industry for 30 years or something like that, you know, haha.
 
いやいや、 ペーペーですけどね。多分うちの父親は結構仕事の話を家族にするんですけど、なんかそういう話とか聞いたりとか、まああとはまあ、そのツイッターで回ってるのその会社の問題とか、そういう話もひっくるめてこうなのかなって思った感じですね。
No, no, I'm just babbling. I think my father talks a lot about work to our family, but I just hear those conversations and other stuff like the issues with that company on Twitter, and I guess that's what led me to think this way.

いや、そうですね。ちょっとここであの後半に橋渡しするために曲振りに行きたいんですが、一旦接続の点としては、そんないろいろな失敗を経て、グレーが最高だというふうに、今こうある程度のこの結論が出ているミチノクさんですが、その卒制の時に、これ失敗しちゃったな!って言うところのエピソードを語っていただいたんですけども、あの、 逆にと言いますか、憧れっていう言い方が正しいのかわかんないですけど、結構ミチノクさんの中でも本当にこれはいいなと思った作品の曲をご紹介いただくっていう形ですかね。
Well, let me see. I'd like to go back to the song arrangement to bridge the latter half here. As far as the connection point goes, after experiencing various failures, Michinoku-san has come to the conclusion that gray is the best. At the time of his graduation work, he talked about an episode where he failed and said, "I messed up here!" On the other hand, or rather, I don't know if it's the right way to put it, but it's a form of introducing songs that Michinoku-san himself really liked and thought were good.

えっとですね、僕が学生時代にすごい感銘を受けた作品があって、それが多摩美出身の久野遥子さんっていうアーティストさんがいるんですけど、彼女はアニメーションを卒制で作ってたんですね。そのアニメーションのタイトルとそのアニメーションに使用している曲の名前が同じで、その名前がAiry meという名前で、 その曲のアーティストの名称が、Cuusheさんというアーティストの曲を使われてたんですが、この作品があまりにも秀逸すぎて、かつすごく美しいと僕は感じたんですね。だからこんな素晴らしいものを作りたいなと思った作品で、まあ、そういうふうになんかこういうものを作りたいと思い続けた呪縛のような、アニメーション作品の曲となります。
Um, there's a work that left a great impression on me during my student days, and it's by an artist named Haruko Kuno, who graduated from Tama Art University. She created an animation for her graduation project. The title of the animation and the name of the song used in it are the same, and the name is "Airy me". The artist of the song used in the animation is Cuushe, but this work was so excellent and beautiful that I felt like I wanted to create something like this. So, this song from an animation work has become like a curse that continues to make me want to create something like this.
 
 

感銘を受けたAiry MeのMV

Impressed by Airy Me's MV
 
少しお話しいただいてたんですが、改めてこの曲のエピソードを少しお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
I was talking a little bit earlier, but could you please tell me again the story behind this song?

この作品を見たのが大学三年生の時で、都内のアニメーションを学んでいる学生の作品の選抜された作品の上映会があったんですよ。ICAF(アイカフ)っていうイベントだったんですけど、それで見たのが初めてでした。その、技術的な高さもすごい驚きのものなんですけれど、それよりも絵の美しさがすごくて。まあ具体的にどんな絵柄かっていうと、その一切、デジタル処理してなくて、最低限の仕上げだけで、全部アナログの黄色い、黄色い紙に色鉛筆でいろんな色で線だけの作画をしてるっていう絵柄で、内容は病院が舞台で、この一見その病院の看護婦と患者の可愛らしいやり取りを描いているように見えるんですけど、まあ、最終的に患者がグロテスクな怪物になっちゃうっていう話で、なんか美しくてかわいいんですけど、その対比でグロテスクというか、そういう闇の部分が描かれていて、なんか非常、技術的にも感銘を受けたし、作品のテーマとか絵柄についても本当に憧れ一色というか自分もこういうの作りたいなあって思いましたね。それでなんだろう、憧れるあまりというか、その作品が好きすぎて、なんか社会人になってからも数年は何回もそのアニメーション作品をyoutubeで観てましたね。
I first saw this work when I was a third-year university student, at a screening of selected works by students studying animation in Tokyo. It was an event called ICAF, and it was my first time seeing it. The technical excellence was amazing, but more than that, the beauty of the art was incredible. Specifically, the art style was all hand-drawn with colored pencils on yellow paper, without any digital processing, with just the bare minimum finish. The content was set in a hospital, and at first glance it seemed to depict a cute exchange between a nurse and a patient, but in the end, the patient turned into a grotesque monster. It was beautiful and cute, but at the same time, it depicted the dark side and contrasted with the grotesque elements. I was very impressed both technically and thematically, and I was filled with admiration and a desire to create this kind of work myself. I loved the work so much that even after I became a working adult, I watched that animation on YouTube many times for several years, almost as an obsession.
 
あの先ほど話されていた、心の栄養、じゃないですけど、やっぱ内なる声がこう出てきた時に、やっぱそれをこう制御する意味でもそうだし、より助長する意味でも、この作品を見て、いつか自分もこういうものを作るんだっていうので、栄養を与え続けてたというものでもあるのかもしれないですね。
That thing that was just talked about earlier, not about nutritional supplements for the heart, but when your inner voice comes out, it's both about controlling it and promoting it. Watching this work might have been a way to keep providing that nutritional supplement, with the thought of making something like this someday and giving oneself encouragement.
 
そうですね。あの自然と力をもらっていたのかもしれないですね。
Well, I guess I was getting energy from that nature.
 
それを聴くと、やっぱ作り手の方々はそういう声を他者から聞くことはやっぱりすごく嬉しいと思うので、なんかそれをまたミチノクさんも同じ感触を別のこれから作っていく方々に伝えるために作品作られているっていうことかなと思ったりしてます。
When I listen to that, I think that the creators are really happy to hear such voices from others, so I think that maybe Michinoku-san is also creating the work to convey the same feeling to other people who will make things in the future.
 
そうですね、そうできたら最高ですよね。
Well, if that could be done, it would be great, wouldn't it?
 
そうですよね。いやでもなんかそのやっぱこう、先ほどのこの失敗やあと困難に立ち向かうときの姿勢みたいなものが、めちゃくちゃミチノクさんの作品に投影されてるなって思っているんです、これは無意識ににじみ出てるんだと思うんですけど。マインドフルネスの思考とか、ものすごく入ってるなと思っていて。
例えばあの「ミチノク峠」の作品の中であの鬼っていう山伏いるじゃないですか? 彼が「山と対話じゃあ」っていうシーンがあるじゃないですか。あれはもう思いっきりそのやっぱりマインドフルネスですし、瞑想であり、そういう考え方だと思うんですよね。まあ、なんか今ここに集中するっていうことはその目の前にあるものを体全体で感じて対話をするっていうことだと思うので。そういうことをまあ山伏の姿勢とか、やっぱ民俗学や土着の文化って、そういうところ目指してるものって結構あるので、なんかそういうところをテーマに選ばれてるのもなんか自然とそのまあ意図してか意図せざるかわからないですけど、今のこのミチノクさんが持たれている、そういう困難へ立ち向かう姿勢みたいなものが作品にも現れてるなと今思いました。
That's true, isn't it? Well, I think that the attitude towards facing failures and difficulties, like the one from earlier, is really projected in Michinoku-san's work. I think it's unconsciously seeping through. I feel like mindfulness thinking is really present in it.
For example, in the work "Michinoku Pass," there's a mountain priest named Oni, right? There's a scene where he says "Let's have a conversation with the mountain," right? That's definitely mindfulness and meditation, and I think it's that kind of thinking. Well, I think that focusing on the present moment means feeling and having a conversation with everything in front of you with your whole body. So, I think that folkloristics and indigenous cultures aim for those kinds of things, so it's natural that those themes are chosen. I now think that Michinoku-san's attitude towards facing difficulties is also reflected in their work, whether intentionally or unintentionally.
まあ、その過去にあった困難みたいなやつ、思いを供養としてみちのく峠にエピソードとして加えている面もありますし、迫田さんがおっしゃったみたいになんか無意識にこう入っちゃってる部分も両方あるんだなと思いました。
Well, there are aspects of adding past difficulties as episodes to Michinoku Pass as a way of honoring those memories, and also parts that, as Sakoda-san mentioned, are unconsciously included. Both seem to be present.
 

クリエイティブアイデアを発想するルーティンとは

What is a routine for coming up with creative ideas?
 
エッセンスとしていただいた困難や失敗に対して「焦らない」「考えない」っていうところをお聞きしてきたんですが、その考えを経てクリエイティブをやっていく中で、ミチノクさんがどういったアイデア発想の思考法だったり、ルーティンだったり、考え方を持たれているのかをお聞きしていきたいんですけども、どうですかね、アイデアってどういうところから出てきたり、どういうものからこう想起されたりするのでしょうか?
I asked about the idea generation process and routine that Mr. Michinoku has while doing creative work, after hearing about the idea of "not rushing" and "not thinking" when faced with difficulties and failures as an essence. However, what is the process of generating ideas and what kind of things lead to inspiration?
 
会社員時代の時に僕はゲームデザインの仕事をしていたので、まさにそのアイデアを形にする仕事をしていたんですよね。だから、その時に教わった方法と、プラスで、そうですね、僕自身が人生で体験したことを入れ込むっていう二つがあって、その会社員時代にええとまず教えてもらった、教えてもらったって言うか、身についた方法としては、お題を出された時、そのお題に対して調べまくるんですよ、とにかく。お題に対して一番その最適な答えを探して、まあ多分100%ストライクの答えは出ないんですけど、まあ近しい答えは出てくるんですよ。しかし、答えが見つかってから自分の思うところというか、なんかこうしたらもっとよくなるんじゃないかみたいな部分を入れ込んで形にして行く。アイデアを落として行くっていう作業をしています。
その一つに対してのアイデアを落とす方法としては、よく調べるっていうのがあるのと、でもそれだけじゃなくて、普段やっぱり生きてていろんなものを見聞きするわけで、あとは自分の趣味嗜好とかですね。あとはアンテナを張ったりとか、まあそういうものもちゃんと大事にしてストックしてますよね、自分の引き出しとして。アンテナを張るっていう言い方になっちゃうんですけど、自分の興味あるものにアンテナを張るというのも大事なんですが、それだけだとやっぱりその自分の趣味嗜好に偏ったパターンのアイデアしかあの出ないので、何か物を作る時にそのお題に対して調べまくるんですね。自分で思いついたアイデアをその時にえっとメモをするってことを長い間して来たんですけど、その学生の時とか、意外とそういうのって実作業という実の作品に使えないことが多くて、浅いんですよね、なんか。
アイデアの走りにはなることもあるんですけど、どっちかっていうと、そのお題を出されて調べまくった時の情報の方が大いに役に立ちますね。だから逆に自分の引き出しを信じて調べないでアイデア出しをしようとすると、その泥沼にはまっていつまでたっても形にならないっていうことがおきます。だからそのなんだろう、常に常日頃アンテナを張って、より多くのものを知らなきゃって焦っても意外と意味がなくて、まあそれも大事っちゃ大事だけど、それでなんか逆に何て言うか、自分の好きじゃないものも見て、その作品を我慢してみて、その作品の良さに気付かないままただ時間をつぶすよりも、まあその自分の趣味嗜好とかを拾いつつ、必要であればその時に調べるっていうことを大事にしてます。
During my time as a company employee, I worked in game design, so I was doing the job of bringing ideas to life. Therefore, there are two things that I learned during that time: the methods I was taught and, in addition, my own life experiences. As for the methods I learned during my time as a company employee, when given a topic, I would research it thoroughly, looking for the most optimal answer for that topic. I might not find a 100% perfect answer, but I would find a close one. After finding an answer, I would then add my own thoughts on how to improve it and bring it to life. That's the process of dropping an idea and developing it.
One method of dropping an idea is to research it thoroughly, but it's not the only way. Normally, I would see and hear various things in my daily life, as well as my own hobbies and preferences. I also pay attention to things and keep them in stock as part of my own repertoire. While it's important to pay attention to things that interest you and expand your antennae, relying solely on your own interests will only lead to biased ideas for a given topic. Therefore, when making something, I research the topic thoroughly. I've been writing down my own ideas for a long time, but surprisingly, they often don't work when it comes to actual production. They tend to be shallow.
While they can contribute to the flow of ideas, the information gathered from thoroughly researching the topic is more useful. So, if you try to come up with ideas without relying on your own repertoire, you'll get stuck in a quagmire and never be able to put your ideas into shape. Therefore, I always keep my antennae up and try to learn as much as possible. Even if you rush to learn more, it's not always helpful. It's important to look at things you don't like, endure the work, and appreciate the good parts of it, rather than wasting time by not noticing the good parts. That's why I think it's important to pick up on your own hobbies and preferences while researching if necessary.
 

それでいうと、ミチノクさんはお題があって、そのお題に対してアイデアを出すときにはかなりその時に調べまくった情報やファクトがエッセンスになっていて、それを積み上げてそこに自分の意見を融合させてアイデアとして昇華させるっていうスタンスなんだなと感じました。 Regarding that, Michinoku-san has a stance of researching extensively during the process of coming up with ideas in response to a given topic. The information and facts gathered during the research serve as the essence, and by combining them with their own opinions, they elevate them into ideas.
 
お題を決めて、それに焦点を当てて運動することによって、アプローチが近くなるというか、より柔軟なアイデアになると思うんですよね。なんか自分をお題がないまま考えちゃうと、自分が到達しなかったような部分に辿り着けるので。だから、お題を決めるっていうのは、お題っていうかコンセプトですよね、コンセプトを決めるっていうのは大事だなと思います。
By choosing a theme and focusing on it during exercise, I think that the approach becomes closer, or rather more flexible ideas can be generated. When I think without a theme, I can reach parts that I couldn't have reached myself. Therefore, deciding on a theme, or rather a concept, is important.
 
いや、本当そうですよね。お題って言い方よりコンセプトっていうともっと自由に感じるけど、だけれどそういうものがないとアイデアも霧散してしまうし強くはなっていかないから、ある程度のこの制約というか、くくりをつけた上で、そのくくりを強化させるためのファクトや情報をたくさん集め、ただお題が定まってるからこそそもそも結構シャープになっているから、今まで入ってこなかった情報も入ってきやすくなるし、そこに自分の意見を融合させると、積み上げた情報、ファクトと意見がうまく合わさって、そのお題に対して最適なアイデアが生まれてくる。
まあ、これってなんというか、あのクリエイティブにおける広告代理店のクリエイター的な考え方に近いなって思いながら聞いてましたね。結局、分かりにくいものっていうものをアートやクリエイティブの力でわかりやすくして、世の中に伝えたいっていう気持ちが多分ミチノクさんの中には結構あって、だからクリエイティブに対して向かい合う時に、そういう思考の経路をたどるんだなあっていうのは、今勝手に僕の中で納得感が出てきましたね。わかりにくいものをわかりやすくするのはアートの力だし、クリエイティブの力だし、デザインの力だから、なんかそこに対してものすごく嗅覚があって、そこに対してすごい欲求があるから、ああいう『ミチノク峠』のような作品が出てくるんだなっていう理解です。
Well, that's really true. Although using the term "concept" instead of "theme" feels more liberating, having some constraints or a framework is necessary to prevent ideas from dispersing and to strengthen them. By gathering a lot of facts and information to reinforce this framework, which becomes sharper precisely because there is a set theme, it becomes easier to incorporate new information that previously didn't fit, and by incorporating our own opinions, the accumulated information, facts, and opinions combine to generate the best ideas for that theme.
Well, this way of thinking is similar to that of a creative advertising agency's creator, I thought while listening. In the end, Michinoku-san probably has a strong desire to make difficult-to-understand things understandable through the power of art and creativity, and that's probably why he follows such a thought process when facing creative work. Making difficult-to-understand things understandable is the power of art, creativity, and design, so Michinoku-san has a great sense for it and a strong desire to do so, which is why works like "Michinoku Pass" are produced.
 
#03に続く